離人感

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現実感覚消失
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放心状態 離人感 解離
放心状態 離人感 解離
離人症の本当の原因「自己焦点化」
離人症の本当の原因「自己焦点化」

「自分が自分ではないみたい」、「現実感覚がない」などの感覚を持ち非常に不快になる人々がいます。『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』では離人感・現実感覚消失症(いわゆる離人症)と呼ばれています。離人感は「自らの考え、感情、身体、または行為について、非現実、離脱、または外部の傍観者であると感じる体験」と定義され、現実感覚消失は「周囲に対して、非現実的または離脱の体験」と定義されています。しかしこう言われても、これが一体何なのか、どうすればよいのか、傍で見ている者ばかりでなく、一番知りたいであろう本人も分からないのではないでしょうか。離人症のコアにある問題を大胆かつ思慮深く取り扱っているフーゲン・ネッィログロとキャサリン・ドンネリィの共著『離人症を克服する』(Overcoming Depersonalization Disorder)から学んでみたいと思います。

他人からは理解されにくい離人症の体験とはどういうものなのでしょうか。大きな透明の風船に入っているような感覚。自分が自動操縦で動いているような感覚。自分から独立して体が勝手に動いている感覚。配偶者や自分の子どもとの心の絆を感じられなくなる。それではいけないと分かっているのに、自分の行動が他人事のように思える。こうした感覚の後に、気分が落ちて、鬱、不安、心配がやってくる。集中ができなくなり、頭が真っ白になり、考えが入り乱れ混乱し、新しい情報が入らなくなる。過去の記憶は自分のものではないかのような疎遠なものになる。その日の出来事の記憶が抜ける。

現実感覚消失は、自分の周囲の世界が変成したように感じます。異次元空間にいるようで非現実的なもののように見えます。実際よりも大きく見えたり、小さく見えたり。見慣れた景色なのに、何かが変。ともかく知っているはずのものとどこか違っているのです。事物の目的が変わってしまったようにも思える。通りを走る車が無目的に走っているように思え、人々がよそよそしく機械のように動いている感じ。身体感覚がいつもと違っている。例えば体重が無くなったような、感情の動きが非常にゆっくりになったような、二次元に見えたり、色が無くなったように見えたり、バランス感覚がおかしく転びやすくなったり、自分の声がよそよそしく聞こえたりします。

自分や世界がこんなふうに奇妙に感じられるというは実に恐ろしいことではないでしょうか。こうした苦しみを抱える人が約2パーセントいると言われています。この症状で苦しんでいるのはあなた一人ではないということを覚えておくことは、いくらか励ましになるかもしれません。


放心状態と離人症と解離

この三つは程度の違いであって本質的には同じものであるとネッィログロとドンネリィは言います。一方の端には全く正常な誰もが体験する「放心状態」があり、他方の端には解離性健忘(いわゆる記憶喪失)や解離性同一症(いわゆる多重人格)などの解離があり、その中間に位置するのが離人症です。これらの症状はトラウマと関連しており、受けたトラウマ体験の強さによって離人感と解離の差が現れるようです。

離人症の本当の原因

放心状態は誰もが不通に体験するものですが、それが離人症にまで発展してしまうのは、自己焦点化に原因があるようです。「自己焦点化」(Self-focus)とは放心状態を異常と感じ恐れるあまり、いつそれが起こるかわからないと警戒するようになることです。この自己焦点化は、脅迫的になることや思考反芻をもたらします。脅迫的になる場合、自分で止めようとしても離人感を捜してしまい放心状態が症状として固定してしまいます。思考反芻の場合は、止めようとすれば止められますが、しばらくするといつの間にか離人感を無くすことを考えていて、そのために離人感を呼び出してしまうのです。

このように離人感はそれを恐れ無くそうとする無意識の或いは意識的な行動が引き起こす悪循環に由来します。F・ネッィログロとK・ドンネリィは、この問題の解決にマインドフルネスとアクセプタンスが効果的であると説明しています。